【バイヤー日記】バイヤー中西がご紹介する「うたげや達磨」〜伝統工芸×現代芸術〜

みなさん、こんにちは! バイヤーの中西です。
今回は大阪で「伝統工芸×現代芸術」に挑戦するうたげや達磨さんとその商品をご紹介させていただきます!

うたげや達磨さんの店舗は大阪市中央区にあります。今回、「うたげや達磨」の会社代表である吉川貴雄さんと達磨絵師の紋吉さんのお二人にお話を伺いました。
もともとアパレル業界で働いていた達磨絵師の紋吉さん。昔から絵画やペインティングが好きで、伝統工芸品のようなだるまを新しい視点でリペイントし、「願いをかける」という文化を継承しつつ、若い世代にも親しまれるようにしたいとお話しされていました。
吉川さんは、昔から日本の伝統工芸品の縁起物が好きで、招き猫、こけし、福助さんなど様々なものを集めていましたが、達磨がアートと最も相性が良かったように感じ、目を入れて「願いをかける」という「自分の夢に命を吹き込む感覚がもてる」だるまに引かれていったそうです。
達磨の特長は、「絶対夢を叶えるぞ!」という強さだそうです。縁起物は主に厄除けなどの受動的な要素が多い中、達磨は「目標を達成するための自分との約束の儀式」であり、その積極性が気に入っているそうです。また、だるまのずんぐりむっくりしたフォルムも気に入っているそうです。
お二人は、共通の友人を介して知り合い、この業界に入ったそうです。
紋吉さんの作風として、落ち着いたデザイン、飽きのこないシンプルなデザイン、また、力強さの中に対称的で洗練されたデザインが非常に印象的でした。
製作工程についてもお話を伺いました。だるまのデザインによりますが、1日でかなりの数のペインティングができるそうですが、複雑なデザインのだるまを同じように描くには、相当な集中力が必要とされるそうです。
既存のデザインだるま以外にも、お客様が希望するカスタマイズしただるまの依頼も受け付けています。例えば、縁起物として名前やコメントを入れてお誕生日や結婚式、様々なお祝いに。また、企業の設立記念日などには、コーポレートカラーや企業ロゴの入っただるまや、イベント用にペインティングされただるまを販売しています。

「伝統工芸 × 現代芸術」について

達磨絵師:紋吉さんから

「だるまの絵師として、伝統工芸であるだるまのペインティングに新たな息吹を吹き込むことにとても情熱を感じています。また、伝統と現代芸術を融合させ、新しいだるま製作分野を開拓することに大きな意義を見出しています。いろいろなだるまの絵があるので、一概には言えませんが、だるまの中には、古典的な色使いや模様を保ちつつ、現代のアート要素を取り入れ、独自のスタイルを築いているものがあります。私は、下記のような落ち着いた感じで、シンメトリーな洗練されたデザインが気に入っています」

「伝統的な配色に加えて、新しい色づかいを融合させて、だるまの美しさを向上させており、これにより、だるまは新たな価値を持つアート作品として輝くと僕は思います。
今後は、達磨絵師二人(もう一人「シガー」という達磨絵師がいます)でシーズン毎にテーマ性をもたせて製作するようなことも模索していきたいです。
テーマやメッセージを取り入れることで、だるまの文化的意義を広め、社会的な問題や現代の価値観を表現し、だるまを通じて人々にメッセージを伝えられたら嬉しいです。
これにより、だるまは芸術としての力を発揮し、新しい顧客層にも訴えると考えます。この『伝統工芸 × 現代芸術』の融合によって、だるまは新たな魅力を持つアートフォームとして輝き、伝統を守りながらも進化し続けることができると感じています。
私は、これらのアイデアを実現するために注力し、だるまアートの未来を切り拓いていきたいです」と話してくれました。

将来について・・・

将来的な夢として、紋吉さんと吉川さんは共に、今後は積極的に海外進出を目指したいと語っていました。彼らは「願いをかける文化」を越境ECの形で海外に広め、世界中の様々な人々に受け入れられる「アートだるま」を販売したいと考えています。異なる国の国旗模様を取り入れたり、海外の文化を反映させただるまを現代アートとして表現し、販売していきたいそうです。
さらに、機会があれば全国各地でさまざまな形状のだるまをリペイントし、また達磨以外の縁起物(たとえば「招き猫」など)にも現代アートを導入することにも興味を抱いており、ぜひ挑戦してみたいと話していました。
現在、伝統工芸品の分野全体において、価格に関する課題が生じている可能性があります。昭和時代から続く低価格設定は、消費者にとっては魅力的ですが、これが作り手にとっては厳しい生計を強い、業界の衰退につながっている一因となっているかもしれません。
商品の価格を引き上げることで、伝統工芸品を仕事とする人々がより安定した収入を得られるなら、新しい才能を持つ若者が業界に参入しやすくなり、結果として業界全体に新たな活気が生まれる可能性があると思います。
今回のうたげや達磨さんの「伝統工芸品と現代芸術」を結びつけるアプローチは、伝統工芸品に現代的な要素を組み合わせることで付加価値を高め、価格引き上げを容易にする方針です。これにより、国内外から新しい購買層が引き寄せられ、業界全体が活気づく可能性があり、本当に嬉しいことだと感じます。
今後のうたげや達磨さんの活動に注目していきたいです!

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