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焼き物文化のルーツは紀元前にあり “常滑焼 招き猫”に詰まった歴史【商品紹介】

「招き猫」と聞いて、みなさんはどんなシルエットを思い浮かべるでしょうか?
大きな耳と目、まあるい顔、がっつりつかんだ大きな小判と二頭身のフォルム………だいたいはこのような招き猫が浮かぶのではないでしょうか?
実はその招き猫、愛知県常滑市が発祥なのです。そして愛知県常滑市は、なんと日本一の招き猫生産地でもあります。

今回は常滑の招き猫と、その招き猫をを生んだ愛知県常滑市についてご紹介していきます。

ぷくっとかわいいTHE・招き猫 常滑の招き猫

THE・招き猫といった風貌の常滑焼の招き猫。光沢のある見た目の通り手触りはツルツル。ともすれば指紋がついてしまいそうなほどです。

にゅっと掲げた腕は手先にかけて絶妙にカールしていき、愛らしいフォルムを形作っています。ほかにも腰、顔などの各所にある丸みは、手触りとは対照的にプニっとした柔らかさを感じさせてくれます。
お家で飼われ愛されている猫ちゃんといった感じです。可愛いですね……。

挙げた手と反対の手で抱いているのは、キラキラと輝く小判。描かれた文字は千万両。1文字1文字、丁寧に筆入れされています。ちなみに千万両とは現代でいう6000億円だそう。この猫ちゃん、やりますね。

ご利益は掲げた手によって違いがあります。右手を挙げている猫ならば、金運向上のご利益が。左手を掲げた猫であれば人のご縁を向上させるご利益が、それぞれ込められています。

目や首輪、まえかけをはじめとした色つけは職人さんたちによる手作業で行われています。目尻やひげ、爪といった細かい部分ももちろん手作業。購入された際にはぜひ、それらの部位に注目してみてください。

常滑の招き猫 ルーツは常滑焼にあり!

愛知県常滑市は知多半島の中央に位置しており、西側は海に面しています。
古くから焼き物の街として知られてきた常滑市ですが、その理由は一体どんなものなのでしょうか?

答えは今から約650~100万年前、氷河期の時代周辺にありました。
当時の常滑地域には、東海湖という湖が存在していたとされています。その湖の底に溜まった堆積物が良質な粘土として長い時間をかけ地表に表出したのです。
その結果、常滑は焼き物の産地として栄えていきました。

平安時代の末期には、常滑を中心にして知多半島の多くの地域で穴窯が築かれていたとされています。この時代に常滑地域周辺で作られた焼き物は、「古常滑」と呼ばれ、山茶碗や山皿・壺などが作られていました。
この時代において焼き物の生産量が多い地域はいくつかありましたが、常滑はそれらの地域よりも焼き物作りが盛んだったようです。

その後も室町、江戸と常滑は焼き物の街として発展し、明治時代にはそれまでの山の斜面に築かれていた窯が平地に築かれるようになっていきます。
陶器に釉薬を掛けたものやタイルやレンガといった衛生陶器も作られるように。陶磁器は明治期の輸出産業の花形となり、海外へ日本の存在を知らしめていきました。

その傍ら、常滑焼は欧米の技術を積極的に導入。デザイン面での進化や機械化が進み、石膏型や石炭窯といった設備も用いられるようになりました。
そして昭和の戦後には、その技術を生かした置物や洋食器が日本の復興を支えていったのです。

焼き物と招き猫で溢れる常滑の街

そんな常滑市で招き猫の製造が始まったのは昭和に入ってからのことでした。瀬戸での評判を受け、半田市の乙川人形がルーツ。 冨本人形園の冨本親男さんが完成させたのです。

誰にでも受け入れられやすいかわいさから、高度経済成長期に人気に火がつき、多くの人々に親しまれるように。海外にも輸出され、常滑は現在、日本一の招き猫生産地となっています。

焼き物の街であり、招き猫の街でもある常滑。市内では様々な場所で焼き物や招き猫を感じることができます。 最初にご紹介するのは常滑市の見守り猫「とこにゃん」。街の中に突如現れる巨大な招き猫で、高さ3.8m、幅6.3m。壁の上からひょっこりと顔をのぞかせていて、とっても愛らしいですね。

また常滑駅の東の陶磁器会館に向かう道路沿いのコンクリート壁には、「巨大招き猫」、「御利益陶製招き猫」39体、「本物そっくりの猫」11体がいる「とこなめ招き猫通り」が存在しています。御利益陶製招き猫にはご利益の描かれたボードもあるので、ぜひ読んでみてくださいね。

「とこなめ散歩道」もおすすめスポットの一つ。昭和初期ごろ最も栄えた窯業集落一帯を指し、使われなくなり今も残る煙突や釜を見ることができるスポットです。
現在でも多くの作家や職人が活動しており、常滑の観光スポットとして親しまれています。

まとめ

かわいく小判を抱え、腕を上げている常滑の招き猫。そのストーリーを紐解いていくと、約650~100万年前、氷河期の時代にまで遡ってしまったのですから驚きです。
招き猫をお家に招かれた際は、連綿と続く常滑焼物の歴史も一緒にお楽しみください。

常滑焼 白い招き猫 左手招き

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