品切

柿田勝郎面工房 天狗面

56,100円 (税込)

島根県西部・石見地方の伝統芸能「石見神楽」で使われる「神楽面」です。地元では、魔除けの意味を込めて、新築祝いや新婚祝い、あるいは記念日などの贈答品にもなっています。

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【石見神楽とは?】

島根県西部・石見地方で受け継がれている郷土芸能です。神楽として神社で奉納されるのはもとより、石見神楽の大きな特徴は定期公演、イベント公演など地域に密着した芸能として生き続けているところにあります。

その魅力は、一言で言えば圧倒的なエンターテインメント性。軽快で早い囃子に合わせ、豪華絢爛な衣裳を纏った舞手が躍動的に舞い踊ります。新たな演目や、最新の照明・音響技術を取り入れるなど、石見神楽は観て楽しい神楽として現在進行形で挑戦し続けている伝統芸能です。

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伝統と革新で「石見神楽」を支える「面師」

柿田勝郎面工房は、市内外の多くの社中(神楽団の呼称)から「神楽面」の制作を依頼されている工房です。石見神楽面(長浜面)発祥の地で生まれ育った柿田勝郎さんが1972年に開き、現在は父のもとで修行した2代目・兼志さんと共に、面作りを通して石見神楽の伝統を守っています。
お二人とも島根県から優秀専門技能者に認定され、工房で生み出される作品は、島根県ふるさと伝統工芸品に指定されています。 島根県浜田市にある工房を訪ね、柿田兼志さんにお話を伺いました。

石見神楽を進化させた「和紙面」

「石見神楽面の一番の特徴は、素材に和紙を採用していることです。木製面に比べ、舞手にとっては軽く、動きやすいことで新たな舞の表現が可能になりました。そして、私たち面師にとっても、新たな表現の地平が拓かれたのです」。

石見神楽で和紙面が使われ始めたのは、明治時代のころ。浜田市の国学者・藤井宗雄(ふじい・むねお)氏が、市内の伝統工芸である長浜人形師・木島仙一(きじま・せんいち)氏に、神楽面の制作を依頼したのが始まりと伝えられています。

素焼きの土人形である長浜人形は、原型から石膏型を作り、それを粘土に移しとるという工程で作られます。浜田の和紙面はこの方法に範を取り、石膏型で作った粘土型に、和紙を幾十重にも貼り合わせます。和紙が乾いたら、粘土を叩き割って和紙面を取り出します。この工程を「脱活(だっかつ)」と言います。

「使用している和紙は、この地域で伝統的に作られている『石州和紙』です。地産の楮(こうぞ)から手漉きで作られるこの和紙は、衝撃に強く強靭です。和紙面は、木製面に比べて5分の1ほど軽く、薄くできるために面の内側に空間が多くできて呼吸がしやすくなります。
加工もしやすく、焼き火箸で容易に穴が開けられるので、目や口、毛穴など目立たないように多くの穴を開けることで、木製面より広い視野を得られるようになりました。この和紙面があってこそ、浜田市の石見神楽の早いテンポの躍動的な舞が可能になったと言えるでしょう」。

一枚の面に使われる和紙は習字の半紙に例えるなら20枚〜50枚分ほど。手で細かくちぎりながら、粘土型に張り合わせて面に表情を作り出していきます。和紙を張る糊には柿渋が用いられており、防水効果や防虫効果もあります。

新たな工夫が新たな神楽を作る

面のベースが出来上がったら、次は彩色です。まずは下地に「胡粉(ごふん)」という貝殻から作られる白い顔料を塗り、絵付けをしていきます。お面にさらに個性が生まれる大事な作業です。

「和紙面は、木製面に比べると彫りが浅く、素直に仕上げると優しい表情に仕上がります。女面や道化面などならその持ち味が生きますが、鬼面や神面など、怖さや威厳を表現したい時のために、隈取りのように陰影を描いていく手法が生まれました。これによって、面に一段と表情が生まれます」。

この手法により和紙製とは思えない陰影と重厚感が醸し出されます。工程の最後には、ヤクの毛や馬毛などを植えて髭や眉毛を表現します。

「かつては面に描いただけの髭や眉毛だけでしたが、より迫力のあるものを求めて各社中が競って表現を高めてきた結果、今のような植毛した面が作られるようになりました。 当工房でも、ある社中のご要望で、従来は垂らして植えていた鬼の髪の毛を逆立てて植え、より舞手の感情が伝わるように工夫したところ、他の社中から『うちのもあんな風にしてくれ!』とご要望をいただくようになりました」。

日本を代表する伝統工芸品へ

柿田勝郎面工房には、市内外の石見神楽社中だけでなく、県外の神楽団体や、大衆演劇などの劇団、ライブパフォーマンス集団などからも注文があるそうです。

「海外からもよく問い合わせをいただいております。海外のマジシャンの方がショーの演出に使いたいと仰ってくださったり、最近では個人の方でもヨーロッパからわざわざ工房を訪ねてくださったり。
従来、石見神楽が海外公演に招かれる機会も多々ありましたが、舞だけでなく使われる道具にも興味を持っていただいているようで、おもしろいことだなと思っております」。

こうして現在、浜田市の石見神楽面は、日本のみならず、海外へと広まる伝統工芸品になっているのです。

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商品仕様等

商品名 柿田勝郎面工房 天狗面
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