帖佐人形とは?
江戸時代から姶良市(あいらし)で親しまれている伝統工芸品である、帖佐人形。 朝鮮出兵の際、島津義弘が連れ帰った陶工が犬の焼き物をつくり、故郷に想いを馳せたことからその文化が始まりました。
以来、その製法は姶良市の人々の間に広まり、犬以外のさまざまな形も製作されるようになったのです。
しかし帖佐人形の伝統は、戦争により昭和初期に一度断絶。数十年後、現在唯一の帖佐人形職人・折田さんのおじいさまをはじめとする有志の方々の尽力により、人形や窯が発掘されたことを機に復興されました。
以来、折田さんのおじいさまが制作にあたっており、やがて折田さんが承継。おじいさまは亡くなられており、帖佐人形職人は折田さん、ただ一人となっているのです。
帖佐人形は折田さん自ら指定の田んぼへ赴き土を採取するなど、伝統的な製法が特徴的。断絶前に使われた型を用いて作られている人形もあるといいます。一つの人形を制作するのに要する期間は半年ほど。
最終工程の絵付けは「なににも代えがたい、没頭できる時間で大好きなんです。」と折田さんは話します。
季節をまだいた末に出来上がる、ゆるっとした表情が印象的な帖佐人形。力を抜きたいとき、ぼーっと眺めて過ごしてみてはいかがでしょうか?
「好きなようにつくればいいよ」先代である祖父からのメッセージ 帖佐人形職人・折田貴子さんの大切な思い出
ゆるっとした表情でこちらを見つめる、土人形。その素朴な表情を見ていると、自然と自分の表情もほころんでしまいます。
この伝統工芸品・帖佐人形をつくられているのは、折田貴子さん。一時期途絶えてしまっていた帖佐人形をの文化を復活させた立役者をおじいさまに持つ、職人さんです。
小さなころから、粘土を込めるおじいさまの姿を見てきた折田さん。帖佐人形の文化を継ぐのは自然な流れだったと振り返ります。 そんな折田さんの原点にあるのは、大好きだったおじいさまとの思い出。
折田さんの製作の芯はどんなものなのか?おじいさまとの思い出とは?帖佐人形の歴史をひも解きながら折田さんの想いに迫っていきます。
復興した伝統 帖佐人形の足跡
「帖佐人形とは、約450年前に生まれた、鹿児島県姶良市の伝統工芸品です。
当時、朝鮮出兵から帰国した島津義弘は、朝鮮の人々を連れて帰国しました。朝鮮の人々はお殿様に献上する茶碗などをつくっていたといいます。
そんな日々のなかで、彼らは故郷に想いを馳せ、犬の置物を制作しました。その製法が地域で内職を営んでいた40件ほどの下級武家へと広がり、帖佐人形の文化が生まれたのです。」
しかし長い歴史のなかでは、あまりに素朴な絵付けによって見向きされなくなったり、畑のカカシに使われたりといった扱いを受けることもあったという帖佐人形。
さらには太平洋戦争という大きな出来事によって昭和の頃には、その伝統は途絶えてしまっていました。
そんな帖佐人形の歴史を復活させたのは、かつて人形を製造されていた武家の末裔であった折田さんのおじいさまと、そのご友人。
現在、おじいさまから承継し、ただ一人の帖佐人形職人として活動をされている折田さん。
「私は小さい頃から粘土遊びが好きで、母に『ご飯よ』と言われても夢中で粘土遊びをしているような子どもでした。 祖父が帖佐人形をつくっている間も、近くで一緒に遊んでいたのを覚えています。
帖佐人形に携わるようになったのは、その頃よりもずっと後のことですが、違和感はありませんでした。それよりも『祖父が復興させた伝統を繋いでいきたい』といった気持ちが強かったですね。」
『好きなようにつくればいい』おじいさまから教わったこと
とにかく優しく、のんびり屋さんでおおらかだったという、おじいさま。
そんなおじいさまの描く帖佐人形の表情は、適度に力が抜けていて、お客様からは好評だったといいます。
「私は書き込み過ぎてしまうことが多く……。当初、お客様には『あなた書きすぎよ』と言われてしまうこともありました。
祖父からは絵付けについて『好きなようにつくればいいよ』としか伝えられてなかったのですが、今思えば、こだわり過ぎてしまう私のことをわかってのアドバイスだったのかもしれません。力を抜いた表情の人形なら、見る方も気楽に見られますしね。」
家族の健康を願う贈り物
これまで何度か迷いもあったと打ち明けてくれましたが「人形だけに没頭できる時間は何にも変えがたかった」といいます。
「土をこねたり、型に入れたりするのは大変ですが、ずっと集中してできる絵付けの工程は私にとって至福の時間なんです。
帖佐人形は、かつて節句人形としてお子さんのいるご家庭に贈られたり、厄除けの縁起物として新築のお家に贈られたりして、家族の健康を願う贈り物として親しまれていたと聞いています。
帖佐人形からもらったモノを、今度は私が、お客様に届けられるように。一作家としてこれからも頑張っていきたいですね。」
インタビュー中はずっと笑顔だった折田さん。『好きなように』という、最愛の孫へ向けたおじいさまのメッセージは、しっかりと折田さんの心に刻まれているんだなと感じました。
商品仕様等
商品名 |
帖佐人形 猫 |
大きさ |
商品はすべて職人の手作りのため、描彩や大きさ、形状が写真と若干異なる場合がございます |
商品仕様について |
素材:土製人形 |
おすすめ |
・かつて鹿児島県に住んでいた方
・大切な方への贈りものを探されている方
・日常で、肩の力を抜くきっかけが欲しい方 |
配送スケジュール |
到着まで7〜10日かかる商品です |
配送について |
「帖佐人形窯元・折田貴子」からの発送商品です。 |
送料について |
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